桜チャート(Sakura Chart)

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積立投資のリターンはどう計算する?利回り別のグラフで複利を比較

はじめに

毎月や毎年、一定額を積み立てながら運用した場合、将来の資産はいくらになるのでしょうか。 「初期投資額+積立額×年数」で投資元本は分かりますが、運用益を含めた評価額は、 それぞれのお金が何年間運用されたかを考えて計算します。

この記事では、式を長く記述するより先に、実際のシミュレーションとグラフを見ていきます。 等比数列を使った式の導出は、記事の最後に補足としてまとめました。

ここで使う年利2%・4%・6%は、毎年同じ割合で増えると仮定した計算例です。 実際の投資では価格が上下し、将来の運用成果は保証されません。

1. シミュレーションの条件

今回は、次の条件で年末に積み立てる場合を比較します。

項目条件
初期投資額 P0100万円
毎年の積立額 C12万円(毎年末)
運用期間 n30年
想定利回り r年0%・2%・4%・6%
考慮しないもの手数料・税金・物価変動

毎年末に積み立てる場合のn年後の評価額は、次の式で計算できます。

Sn = P0(1 + r)n + C (1 + r)n − 1 r

想定利回りが0%の場合は、SnP0nCと計算します。式の作り方は最後の補足で解説します。

2. 年利0%・2%・4%・6%の評価額を比較

初期投資100万円、毎年12万円積立における年利0・2・4・6パーセントの評価額比較
図1:桜チャートで作成した想定利回り別の評価額。0%の線は投資元本を表す基準線です。
運用年数0%(元本)2%4%6%
5年160.0万円 172.9万円元本差 +12.9万円 186.7万円元本差 +26.7万円 201.5万円元本差 +41.5万円
10年220.0万円 253.3万円元本差 +33.3万円 292.1万円元本差 +72.1万円 337.3万円元本差 +117.3万円
15年280.0万円 342.1万円元本差 +62.1万円 420.4万円元本差 +140.4万円 519.0万円元本差 +239.0万円
20年340.0万円 440.2万円元本差 +100.2万円 576.4万円元本差 +236.4万円 762.1万円元本差 +422.1万円
30年460.0万円 668.0万円元本差 +208.0万円 997.4万円元本差 +537.4万円 1,523.0万円元本差 +1,063.0万円

30年間の投資元本は460万円です。年利2%では元本より208.0万円、年利4%では537.4万円、 年利6%では1,063.0万円多くなる計算です。表の緑色の数値が、その年数までの投資元本との差を表しています。 利回りの差は最初は小さく見えますが、運用期間が長くなるほど広がります。

3. 2種類のデータからグラフを作る

利回り別の推移は通常グラフ、元本・評価額・運用益率を1枚で見せる場合は 組み合わせグラフを使います。下のボタンを押すと、サンプルデータを入力した状態でそれぞれの作成画面へ進みます。

3-1. 通常グラフ用:利回り別の長期比較

1列の評価額をLEVEL列で「0%・2%・4%・6%」に分けた縦持ちデータです。 折れ線グラフで、X軸にyear、Y軸にvalue_yen、凡例にLEVELを指定します。

year,value_yen,LEVEL
0,1000000,(a)0%_投資元本
1,1120000,(a)0%_投資元本
…
0,1000000,(c)年利4%
1,1160000,(c)年利4%

3-2. 組み合わせグラフ用:元本・評価額・運用益率

年ごとの投資元本、年利4%の評価額、元本に対する運用益率を横持ちにしたデータです。 投資元本は棒グラフの主軸、評価額は折れ線の主軸、運用益率は折れ線の第2軸に表示します。

year,principal_yen,portfolio_4pct_yen,gain_rate_pct
0,1000000,1000000,0
1,1120000,1160000,3.57
2,1240000,1326400,6.97
…
投資元本、年利4パーセントの評価額、運用益率を表した組み合わせグラフ
図2:桜チャートの組み合わせグラフで、元本・年利4%の評価額・運用益率を表示した例。

※ 第2軸は運用益率(%)だけに使い、金額の2系列は同じ主軸で比較します。

4. 毎月積み立てる場合

実際の積立投資では、毎月積み立てるケースが一般的です。年間の想定利回りをRとし、 実効年率から1か月あたりの利回りiを求める場合は、 i=(1+R)1/12−1とします。

毎月の積立額をc、積立月数をN=12nとすると、年単位と同じ形の式で計算できます。 ただし、金融商品やシミュレーターによって、年率から月率への換算方法や積立日の扱いが異なる場合があります。

5. シミュレーションを見るときの注意点

  • 一定利回りは仮定:実際のリターンは年ごとに変動し、マイナスになることもあります。
  • 積立時期:年初に積み立てる場合は、年末積立より1期間長く運用されます。
  • 手数料と税金:実際の手取り額は、信託報酬、売買手数料、税金などの影響を受けます。
  • 物価変動:将来の100万円の購買力が、現在と100万円と同じとは限りません。

金融庁のつみたてシミュレーターでも、 シミュレーションは将来の結果を予測・保証するものではないと説明されています。 GPIFの「投資のリスクとは」では、将来のリターンは確定していないと説明されています。

6. まとめ

  • 積立投資の評価額は、初期投資額と毎回の積立額の運用期間を考えて計算する
  • 利回りの差は、運用期間が長くなるほど複利によって広がりやすい
  • 元本を基準線にすると、評価額と運用益を分けて読み取りやすい
  • 通常グラフは利回り別比較、組み合わせグラフは元本・評価額・運用益率の同時表示に向いている

7. 補足:積立投資の式はどう導出する?

式の成り立ちを確認したい方向けの補足です。計算結果とグラフだけを利用する場合は、読み飛ばして問題ありません。

等比数列による導出を開く

初期投資額をP0、毎年末の積立額をC、想定利回りをrとします。

S1 = P0(1 + r) + C
S2 = P0(1 + r)2 + C(1 + r) + C

n年後まで一般化すると、積立部分は次のように並びます。

C{1 + (1 + r) + (1 + r)2 + … + (1 + r)n-1}

これは初項1、公比(1+r)、項数nの等比数列です。 等比数列の和を使うと、積立部分は次の形になります。

C (1 + r)n − 1 r

初期投資額の成長分を加えると、次の公式が得られます。

Sn = P0(1 + r)n + C (1 + r)n − 1 r

年初に積み立てる場合は、各積立金が1年分長く運用されるため、積立部分全体に(1+r)を掛けます。